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「深紅の夢」の10月限定スレ(といいつつまだ少し稼働してるけど)であった流れの中で、
こっそりと桟敷が考えていたことを小話にしてみる。

(※思い切りアンオフィが含まれているので、読む方はご注意ください)


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『深紅の夢』オーナーが用意した、不思議な魔法が使えるという限られた空間で、

「じゃあ、桟敷の背が縮んじゃえ。」
「抱っこしやすいようにもっと小さくなっちゃいますか?」
「わ、わわ、」

他メンバーのイタズラによって、5歳児相当の姿になった桟敷。
 


まずは、目の前で両手のひらを広げて。
そして、他の人の手にあった手鏡を覗き見て、そこに自分の顔を確認して。

結社にはいない筈の、幼稚園くらいの子供だ。


そこに、『懐かしい』という感想は生まれない。
こんな子供は見た事がない。

俺の記憶は、背の伸びた15歳相当の姿から始まっていて、
『小さい頃』と呼ぶにふさわしい姿の記憶は、無い。


皆が集まっている筈のハロウィンパーティ。
先ほどまで、左右を見渡せば確認できたはずの友人たちの顔が、今は見当たらず。

前後ろを振り向いても、視界に入るのは誰かの膝小僧ばかり。
並ぶ足は色とりどりながら、暗い雑木林のようで。

思わず、光を求めて顔を上げる。


「ん~、可愛い~♪」


すうっと、両脇に白い腕が伸びてきて。
身体が高く宙に浮いた後、真っ白なドレスを纏った胸の中に収められる。

振り向いて間近にあった顔は、いつも対等な高さで見つめている、愛しい人のもので。
それは普段から輝かしいものなのだけれど、
今日びの魔法による白いドレスと緩やかな髪のウェーブが、
いつもに増して明るく眩しいものに見せた。


小さな自分の身体を包みこむ、温かな腕と身体。

腕に収められた自分を見て、間近で微笑む柔和な存在。

目が合った瞬間、包まれて身体が温まる瞬間、心臓の緊張がとろりと溶けだし、
身を委ねてしまいそうになる。


そんな記憶も、無い。

……無いけれど、もしかして、これが、



(……親子……?)


傍から取り入れた教養の中で、この感覚にもっとも近いと思われた、単語をひとつ呟く。
そうすると、頭や胸の中で一斉に賛同が起きる。

ああ、 きっと、親に抱かれる子供って、こういう感覚なんだ。


(これにしよう)

惜しみなく笑顔を満開にさせて、小さな自分を包みこむ愛しい人の首元に、ぎゅっと抱き付く。

今のこの姿、この温もり、この優しい空気を、俺の『小さい頃』にしよう。
ならばもっと鮮明なものにと、夢中で頬を寄せ、めいっぱい笑って、思いつくかぎり甘えて。



ずっと迷子だった小さい頃の俺は、この上なく幸せになった。



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桟敷は、15歳(位)の時、日本のとある路地裏に立っていた。
そこから前の記憶がありません。
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